中小企業こそ健康経営を取り入れるべき

今、産業界で注目されている「健康経営」をご存じでしょうか?

もしあなたが「健康経営」への取り組みは大企業だからできると考えているとしたら
それはとてももったいない考えです。

中小企業こそ、「健康経営」のメリットが大きいのです。

そこで今回は「中小企業が得られる健康経営のメリット」について以下の2つをお伝えします。

①「健康経営」とは何か?
②「健康経営」を取り入れる5つのメリット/1つのデメリット

①「健康経営」とは何か?

まず、言葉の定義を確認しましょう。

「健康経営」とは、従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経 営的視点から考え、戦略的に実践すること。
企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される。

経済産業省「健康経営の推進について」(令和3年10月)より

要するに

企業が従業員の健康を重要視することで、従業員のやる気を高め、業績アップや企業価値向上が期待できる!

ということです。

一方、中小企業による「健康経営」の認知度は、


意味や内容を知っている  ・・・ 22%
言葉だけは聞いたことがある・・・ 47%
聞いたことはない、知らない・・・ 31%

「大同生命サーベイ」の中小企業経営者アンケート調査より

まだまだ実際に取り組んで切る中小企業は少ないのが現状です。

ということは、です。

今取り組み始めることで、ライバル企業との差別化も期待できると言えるでしょう。

逆にライバル企業が先に取り組んでいたとしたら、大きく差をつけられる前に追いつくチャンスです。

②「健康経営」を取り入れる5つのメリット/1つのデメリット

メリット1  離職率低下・定着率向上
メリット2  従業員のやる気・満足度・効率性向上
メリット3  求人の応募者増加
メリット4  収益力・企業競争力の向上
メリット5  企業価値の向上
デメリット1 経費(人件費・設備費・運用費など)がかかる

それでは解説していきます。

メリット1  離職率低下・定着率向上

経済産業省「健康経営の推進について」(令和3年10月)による離職率はこちら

健康経営銘柄2021       3.3%
健康経営優良法人2021     5.4%
健康経営度調査 回答企業平均  5.5%
全国平均           11.4%

実際に健康経営に取り組んでいる企業の方が全国平均と比べても離職率が低いのがわかります。

時間とお金をかけて新入社員教育をしてもすぐ離職されては企業にとっては損失ですし、離職率が高いことは企業イメージのダウンにも繋がりかねません。

離職率が下がり、定着率が向上することで企業イメージ向上にも役立ちます。

メリット2  従業員のやる気・満足度・効率性向上

中小企業の方が大企業よりも人材不足が深刻化しています。

一般的に人材不足の現場では従業員一人に対しての負担が重くなります。
長期的な負担増加は仕事へのやる気や集中力の低下、心身の両方へのストレス増から遅刻・早退・病欠、事故や不祥事なども増加してしまいます。

結果、それをフォローする従業員への負担が増え、体調不良になり病欠へ。
などといった悪循環になりやすいのが中小企業です。

そんな悪循環を健康経営に取り組むことで好循環へと変えることができるのです。

従業員の健康状態が良くなることで、勤務状況の安定、身体的精神的ストレス減少、集中力の持続が期待できます。
作業効率もはかどり、それが成果となって現れることでやる気へとつながります。

実際、企業に勤務する従業員向けのアンケート調査を実施した結果、所属企業の健康投資レベルが高いと感じている人の方が、健康状態や仕事のパフォーマンスが良好であることが分かっています。
経済産業省「健康経営の推進について」(P54)

メリット3  求人の応募者増加

健康経営に取り組む企業は従業員を大切にする企業として認識され、求職者に選ばれやすくなります。

就活生及び就職を控えた学生を持つ親に対して、
健康経営の認知度及び就職先に望む勤務条件等についてのアンケート結果がこちらです。

Q.(就活生)将来、どのような企業に就職したいか。(3つまで)
Q.( 親 )どのような企業に就職させたいか。(3つまで)

経済産業省「健康経営の推進について」(P55)

「従業員の健康や働き方への配慮」は就活生・親双方で特に高い回答率でした。
また、就活生の7割が「就職先は親の意見を参考にする」と答えています。
健康経営に取り組むことは、就活生・親の双方から選ばれやすくなると言えるでしょう。

メリット4  収益力・企業競争力の向上

メリット1-3でお伝えしたように、従業員の健康状態が持続的に好調であることは
ミスや事故といったマイナス要素が減り、集中力ややる気といったプラス要素が増えます。
心身の健康は、商品開発やより質の高いサービスを提供するうえでの大きな力となります。
従業員一人一人のレベルアップはそのまま会社全体のレベルアップとなり、収益力や企業競争の向上へ繋がります。

また、地方銀行を中心に、すでに健康経営のサポートを目的にした商品を提供する金融機関も存在しているため将来的に資金調達の幅が広がる可能性もあるのです。
資金調達に悩まされやすい中小企業にとって大きなメリットの1つと言えるでしょう。

メリット5  企業価値の向上

健康経営を実施することで「従業員を大切にしている企業」というイメージが出来上がります。
それは、従業員・求職者のみにとどまらず、顧客や取引先企業にも好印象を与えることでしょう。
健康経営は日本政府による認定制度が設けられています。

経済産業省は、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、社会的な評価を受けることができる環境を整備しています。
大規模法人の上位層を対象とした健康経営銘柄、健康経営優良法人「ホワイト500」に加え、 2020年度から中小規模法人の上位層を対象とした冠を創設し、「健康経営優良法人の中でも 優れた企業」かつ「地域において健康経営の発信を行っている企業」を「ブライト500」として認定しています。

認定されることによって、外部からの注目されるようになり、知名度も上がります。

経済産業省「健康経営の推進について」(P20)

認定された企業は株価の上昇も見られます。
投資家の投資対象に選ばれやすくなり、企業イメージや企業価値も向上することになるでしょう。

デメリット1 経費(人件費・設備費・運用費など)がかかる

メリットがある一方、デメリットももちろんあります。
一番のデメリットと言えば、経費が余分にかかるということでしょう。

場合によっては、
・健康・医療スタッフ
・事務スタッフ
・保健指導等利用費
・システム開発・運用費
・設備投資費
などの経費がかかると考えられます。

ですが、ジョンソアンドジョンソン(J&J)では
健康経営に対する投資1ドルに対するリターンが3ドルになるとの調査結果も出しています。

一時的な出費はあるものの、その3倍もの利益が出るとしたら、いかがでしょうか。
5つのメリットと1つのデメリットを比較しても、メリットの方が大きいと思いませんか?

年々健康経営を取り組む企業は増えています。
もしかしたら近い将来は健康経営に取り組んでいないという理由で企業イメージの低下や選ばれない企業のレッテルが張られてしまうかもしれません。
これからの企業に健康経営は避けて通れない時代がもうやってきているのです。

まとめ

「健康経営」を取り入れる5つのメリット/1つのデメリット

メリット1  離職率低下・定着率向上
メリット2  従業員のやる気・満足度・効率性向上
メリット3  求人の応募者増加
メリット4  収益力・企業競争力の向上
メリット5  企業価値の向上
デメリット1 経費(人件費・設備費・運用費など)がかかる

企業にとって従業員の健康を守るということはとても大切です。
そしてそれが企業の成長や事業の継続へと繋がる。
積極的に健康経営を経営戦略に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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